「ジャズのセッションに行ってみたいけれど、アドリブなんてできないし、曲もそんなに知らない」——最初の一歩で足が止まる人はとても多いです。ジャズのジャムセッションは、実は「弾ける曲を1〜2曲持っていけば参加できる」場所で、アドリブが苦手でも、見学からでも入っていけます。このページでは、ジャズセッションがどう進むのか、最初に覚える曲、当日の流れ、そして東京・神奈川・大阪で今まさに開催されている会場までを、初めての人向けにまとめます。
ジャズセッションはどう進む? ─ 「テーマ→アドリブ→テーマ」が基本形
ジャズのジャムセッションは、その場に集まったメンバーが1曲を選び、決まった型に沿って演奏していきます。おおまかな流れはこうです。
- テーマ(メロディ) を全員で提示する
- 各楽器が順番に アドリブ(ソロ) をとる
- 曲の後半で 4バース(ドラムと他の楽器が4小節ずつ交代)を入れることもある
- もう一度 テーマ に戻って締める
クラシックが「楽譜どおりに再現する音楽」だとすれば、ジャズは即興性が主役です。大手楽器店・島村楽器の音楽教室コラムは、ジャズを「台本のないトークショー」にたとえ、決まったメロディを崩す「メロディフェイク」と、その場で組み立てる「アドリブ」を中心的な技法として紹介しています。つまりジャズは、コード進行という共通のルールの上で、参加者どうしが音で会話するスタイルの音楽です。
用語が不安な人は、先にジャムセッション用語集で「テーマ」「4バース」「コンピング」などを押さえておくと、当日の合図が分かりやすくなります。
「アドリブができない」は参加できない理由にならない
初心者がいちばん身構えるのが、このアドリブです。けれども、アドリブが完璧でなくても参加する方法はいくつもあります。
- ソロを回さない選択がある。 曲が始まる前にホストへ「今日はソロは弾きません」と伝えておけば、テーマとバッキング(伴奏)だけで一曲を通せます。
- バッキングで貢献できる。 ピアノやギターは、ソロを弾く人の後ろでコードを刻む「コンピング」だけでも立派な参加です。ベースやドラムは、そもそもリズムを支えることが主役です。
- 見学から入ってもいい。 ジャズ専門メディアARBANのジャムセッション講座(ベーシスト・納浩一監修)も、演奏せず見学だけの参加を認めています。まず1回、聴くだけの回を挟むと、エントリーの呼吸や店の雰囲気がつかめます。
「知らない曲をコールされたらどうしよう」という不安には、素直に「その曲は分からないので、次の曲で入ります」と伝えれば大丈夫です。全員が全曲を弾けるわけではなく、弾ける曲だけ手を挙げるのが普通の立ち回りです。楽器を持っていない場合も、ピアノ・ドラム・ベースは店に常備されていることが多く、手ぶらで参加できる会場もあります。
最初に覚える定番曲は2〜3曲でいい
「スタンダードは何百曲もある。全部覚えないと参加できないのでは」と圧倒される人がいますが、そんなことはありません。最初は 自分が最後まで通せる2〜3曲 があれば十分です。定番として名前が挙がりやすいのは次のような曲です。
- 枯葉(Autumn Leaves) ── セッションで最も呼ばれる定番の一つ。もとは1946年のフランス映画の主題歌で、英語詞がついてジャズのスタンダードとして広まりました(出典: サライ.jp)。
- Fly Me to the Moon ── メロディが分かりやすく、初心者が最初に手をつけやすい入門曲。
- ブルース(B♭ ブルースなど) ── 12小節の循環で、コード進行がシンプル。アドリブの練習にも向きます。
まずは1曲を「テーマからソロの入り口まで自分だけで通せる」状態にして、その1曲で3回セッションに通う——これだけでも、現場の流れは体に入っていきます。定番曲をもっと知りたい人はジャズジャムセッション定番曲リストに、初心者が最初に覚えたい10曲をまとめています。
東京・神奈川・大阪で開催中のジャズセッション
セッションマップには、今後およそ5か月のあいだにジャズ系セッションを開催予定の会場が 4都府県・26会場・171件 登録されています(本記事作成時点)。代表的な会場は次のとおりです。頻度は登録済みの開催予定数からの目安です。
| エリア | 会場 | 傾向 |
|---|---|---|
| 東京・水道橋 | 東京倶楽部 | ジャズ/スタンダード中心、開催回数が最も多い |
| 東京・歌舞伎町 | ゴールデンエッグ | ジャズセッションを高頻度で開催 |
| 東京・下北沢 | Music Bar RPM | ジャズ中心のバー形態 |
| 東京・四谷 | LIVE UNTEN 45 | ジャズ/スタンダード |
| 東京・西荻窪 | w.jaz | ジャズ中心 |
| 東京・浅草 | Jazz Bar SOULTRANE | ジャズ/スタンダード |
| 神奈川・関内 | Jazz Spot DOLPHY | 横浜エリアのジャズスポット |
このほか荻窪・北新宿・高田馬場・江古田・赤坂など都内各所、大阪・関西にも会場があります。最新の日程・料金・初心者可否は各会場の詳細ページで確認できます。エリアから探すなら東京のジャムセッション完全ガイド、大阪のジャムセッションも参考にしてください。
初参加の当日の流れ ── 入店から帰るまで
初めての一回を、時系列で追ってみます。
- 予約・確認 ── 初心者可のセッションかを事前に確認し、開始時刻の少し前に到着する。
- 入店・チャージ ── 受付でチャージ(+ワンオーダー)を払い、初参加である旨をホストに伝える。
- エントリー ── 演奏したい曲や楽器を、エントリー表やホストへの声かけで伝える。弾ける曲だけでよい。
- 待機中はコンピング/傾聴 ── 自分の順番でないときは、伴奏で支えるか、静かに聴いて流れを覚える。
- 演奏・撤収 ── 呼ばれたら演奏し、終わったら次の人に譲る。片付けと挨拶をして退店する。
服装は普段着で問題ありません。持ち物は、自分の楽器(借りられる会場もある)、必要なら演奏したい曲の譜面を数曲分、そしてドリンク代を含む現金です。持ち物と服装の詳しいチェックは服装と持ち物ガイドにまとめています。初参加の心構え全般は初めてのジャムセッションもあわせてどうぞ。
料金と「演奏していいの?」という不安について
料金は会場によって幅がありますが、チャージにワンドリンクが付く形が一般的で、おおよそ1,500〜3,500円(+ドリンク)のレンジに収まることが多いです。金額はドリフトしやすいので、最新は各会場の詳細ページで確認してください。
「知っている曲を店で演奏して著作権は大丈夫?」という疑問もよく聞きます。著作権情報センター(CRIC)によれば、楽曲を公に演奏することには「演奏権」が働きます。ただし、ライブハウスや飲食店の多くは店舗側がJASRACと 包括的利用許諾契約(包括契約) を結んでおり、その場合は管理楽曲を条件の範囲内で演奏できます(出典: JASRAC)。つまり、こうした会場では出演者が個別に手続きをする必要は基本的にありません。権利の扱いは会場・楽曲により異なるため、気になる場合は会場に確認するのが確実です。
参考・出典
- JASRAC ─ 許諾・請求・分配の仕組み(ライブハウスにおける生演奏)
- JASRAC ─ 許諾・請求・分配の仕組み(飲食店や宴会場における生演奏)
- 著作権情報センター(CRIC)─ 著作者にはどんな権利がある?
- 島村楽器 音楽教室 ─ あなたもジャズを始めよう!
- ARBAN ─ 初心者が知りたいジャムセッションの心得①(エントリー方法・ルール・参加費)
- サライ.jp(小学館)─ フランスの有名曲『枯葉』がジャズのスタンダードになるまで
まずは「弾ける1曲」を決めて、初心者可のジャズセッションを一つのぞいてみてください。ジャズセッションの一覧から、通える会場を探せます。