セッションに初めて行く日、案内の「ホスト」の欄で手が止まることがあります。自分と同じ楽器の名前が並んでいると、その席はもう埋まっているように見えますよね。逆に名前が一つも載っていないと、当日その場に土台を作る人がいるのかが分かりません。
セッションマップに今後の予定が入っているのは、掲載244会場のうち120会場・1,364回です。このうちホストの名前が載っているのは715回・74会場。さらにその中で「(b)」「Pf」「Dr.」のようにパートの略号まで読み取れる回が634回・62会場・22都府県ありました。この634回を数えると、どのパートが最初から埋まっていて、どのパートが参加者の席として空いているのかが、きれいに分かれます。
ホストの名前が載っているのは、半分ほどの回
今後の1,364回のうち、ホストの名前が掲載されているのは715回。会場でいうと120会場中74会場です。残りの649回は、公開されている情報の中にホストの記載がありません。
記載がある715回のうち、パートの略号まで書かれていたのが634回・62会場でした。表記のしかたは会場ごとにばらばらで、「宮本英明(Ba) 五十嵐一欽(Dr) 小林涼(Gt)」のように括弧で括る書き方もあれば、「Key:Hiromi」のようにコロンで区切る書き方、「池永裕子 P」のように名前のうしろに一文字だけ添える書き方もあります。ここで数えたのは、あくまで掲載されている表記であって、当日ステージに立つ人数そのものではありません。表記が省略されている回もあります。
それでも634回ぶんを横に並べると、傾向は十分に読み取れます。
いちばん埋まっているのは、ベースと鍵盤
634回のうち、そのパートのホストがいた回を数えると、次のようになりました。
| パート | ホストがいた回 | 割合 | 会場数 |
|---|---|---|---|
| ベース | 448回 | 71% | 55会場 |
| 鍵盤(ピアノ・キーボード・オルガン) | 427回 | 67% | 56会場 |
| ドラム | 275回 | 43% | 37会場 |
| ギター | 197回 | 31% | 29会場 |
| 管楽器(サックス・トランペットなど) | 136回 | 21% | 24会場 |
| ボーカル | 81回 | 13% | 14会場 |
ベースと鍵盤が突出しています。7割前後の回で、この2つはホスト側にいます。ヤマハの「楽器解体全書」では、ドラムはサウンド全体を支えるリズムの主役と説明されています。セッションの現場では、その土台にあたるベースとコードを出す鍵盤が、まずホスト側に置かれている、という数字です。
反対に、ボーカルは13%、管楽器は21%、ギターは31%。ここは最初から参加者の席として空いている回のほうが多い、ということになります。
ホストの編成は、2〜3パートが中心
同じ634回を、読み取れたパートの数で分けるとこうなります。
- 1パートだけ … 164回
- 2パート … 164回
- 3パート … 177回
- 4パート … 104回
- 5パート … 25回
いちばん多いのが3パートの177回です。ジャズでピアノ・ベース・ドラムの3人編成をピアノトリオと呼びますが、掲載データでもこの3つの組み合わせが厚くなっています。1パートだけの164回は、ベース1人、あるいはピアノ1人がホストとして座り、そこへ参加者が乗っていく形です。
パート数が多い回ほど、ホスト側だけで曲が成立します。初めての回でうまく入れなくても音は止まりません。逆にパート数が少ない回は、参加者が土台側に回る場面が増えます。どちらが良いという話ではなく、同じ「セッション」でも自分に回ってくる役割が変わる、ということです。
自分と同じパートのホストがいる回は、どうなるか
自分の楽器のホストがいる回は、その席が空くのを待つ形になります。ドラムやベースのように1曲に1人しか座れないパートでは、曲ごとに入れ替わるのが基本の進み方です。ホストは進行役でもあるので、順番はホストが調整します。
ジャズメディアARBANの連載でジャズベーシストの納浩一さんは、ホスト奏者を指揮者・審判・司会者のような役回りだと説明しています。演奏者のレベルを見てメンバーの組み合わせを決めるのもホストの仕事です。つまり、同じパートのホストがいることは「弾けない」という意味ではなく、入る順番を決めてくれる人がいるという意味になります。
一方、自分のパートのホストがいない回では、最初からその席が自分に回ってきます。ベースやドラムで参加するなら、曲の頭から最後まで担当することもあります。ジャズ初心者向け解説サイトのJAM活では、コード楽器はリードシートのコードをそのまま弾けることが第一歩、フロント楽器はテーマをリズムに合わせて演奏できることが最も重要と整理されています。アドリブソロができなくても参加できる、という基準です。
ホストの編成が読み取れる会場
パートの略号が読み取れた62会場のうち、記載のある回が多い会場を挙げます。回数は今後の予定に入っているぶんです。
| エリア | 会場 | ホストに多いパート | 表記のある回 |
|---|---|---|---|
| 東京・歌舞伎町 | ゴールデンエッグ | ベース・鍵盤・ドラム | 98回 |
| 神奈川・白楽 | BLUES ETTE | 鍵盤・ベース・ドラム | 78回 |
| 東京・下北沢 | Music Bar RPM | ベース・ドラム・ギター | 70回 |
| 東京・水道橋 | 東京倶楽部 | 鍵盤・ベース | 34回 |
| 大阪・京橋 | Beehive | 鍵盤 | 34回 |
| 東京・多摩センター | 音楽工房コルコバード | ギター・ベース・ドラム | 32回 |
| 東京・錦糸町 | J-flow | ベース・管楽器・鍵盤 | 29回 |
| 東京・北新宿 | Cafe Dolce Vita | ベース・ドラム・ギター | 26回 |
| 東京・高田馬場 | JazzSpot Intro | ベース・鍵盤 | 23回 |
| 茨城・桜川市 | Jazz Live Spot Village | ベース・鍵盤 | 22回 |
会場ごとの色がはっきり出ます。ゴールデンエッグとMusic Bar RPMはギターやドラムまでホスト側に入る回があり、Beehiveは鍵盤中心。音楽工房コルコバードはギターの回数がいちばん多い会場です。J-flowは管楽器のホストが29回中28回に入っています。最新の日程と編成は各会場の詳細ページで確認できます。
初めて行く日の、パートの決め方
- まず自分のパートを決めます。持っていく楽器が決まっているなら、それがそのまま自分のパートです。
- 会場の一覧から行ける範囲の会場を開き、その日のホスト欄を見ます。パートの略号が書かれていれば、自分と重なるかどうかがそこで分かります。
- 自分と同じパートのホストがいる回は、順番待ちの形になります。1曲まるごと担当する時間は短くなりますが、待っている間に進み方を見て覚えられます。初回はこちらが入りやすい形です。
- 自分のパートのホストがいない回、または表記がない回は、開演前にホストへ「今日は◯◯で参加したいです」と伝えます。土台側に回る場面があるかどうかは、その一言で分かります。
- 演奏せずに一度見るだけでも構いません。見学・リスナー参加ができる回なら、順番の回り方とホストの編成を先に確かめられます。
ホストの記載がない649回をどう見るか
今後の1,364回のうち649回は、ホストの記載がありません。記載がないことは、ホストがいないことを意味しません。掲載元の告知に書かれていないだけの回もあれば、店主やレギュラーメンバーが毎回進行していて、あえて名前を出していない回もあります。
この場合に確かめられるのは3つです。会場の詳細ページに載っている初心者向けの案内、会場の公式サイトやSNSの当日の告知、そして開演前に直接ホストへ聞くことです。ホストミュージシャンの役割を先に読んでおくと、当日の誰に声をかければいいかが分かります。
数字で言えば、パートまで読み取れる634回は今後の予定全体の46%です。半分弱は事前に編成が分かり、残りは現場で分かる、という状態になっています。
パートが分かると、行く日が決まる
自分のパートのホストがいるかどうかは、その日の自分の役割を先に教えてくれます。ベースと鍵盤は7割前後の回で埋まっていて、ギター・管楽器・ボーカルは空いている回のほうが多い。ドラムはちょうど半分より少し下の43%です。
パート別の楽しみ方と合わせて、自分のパートの回り方を先に掴んでおくと、当日いちばん気にしていた「自分の番はいつ来るのか」が、行く前に分かります。
参考・出典
- 初心者が知りたいジャムセッションの心得②|参加できる "演奏レベル" と "やってはいけない"こと(ARBAN/納浩一)
- 初心者が知りたいジャムセッションの心得③|どんな楽器でも参加OK? 楽器別の留意点(ARBAN/納浩一)
- セッション参加に最低限必要な演奏レベル——コード楽器編(JAM活)
- セッション参加に最低限必要な演奏レベル——フロント楽器編(JAM活)
- ドラム - 楽器解体全書(ヤマハ株式会社)
次は、行ける日のセッションを探してみてください。ジャズセッションの一覧から、ホストの編成と開催日をまとめて確認できます。