楽器なしでも参加できる、というのは本当
「歌しかできないけどセッション行けますか?」と聞かれることがあります。結論、楽器を持たないボーカル参加は普通に歓迎されます。むしろ、ボーカルは数が少ないので、来るだけで重宝されることが多い。
ただし、楽器プレイヤーとは違う「ボーカルなりの作法」があります。これを押さえておけば、初参加でも快く受け入れてもらえます。
ボーカル歓迎度はジャンルによって大きく違う
セッションのジャンルによって、ボーカルの居場所はかなり変わります。
ボーカル歓迎度・高 → ソウル / R&B / ロック
歌が主役の音楽ジャンルなので、ボーカルがいないと成立しない場面が多い。Stevie Wonder、Aretha Franklin、邦ロック名曲などが定番。歌詞を覚えていれば即戦力。
中 → ジャズ・スタンダード
ジャズはインストが基本だが、ボーカル曲(「枯葉」「Fly Me to the Moon」など)も多く、ボーカルもの専門のセッションも存在する。「ジャズボーカルセッション」「Vocal Friendly」と銘打った回を選ぶと安心。
低 → ファンク / フリーセッション
楽器のグルーヴ重視のジャンルだと、ボーカルが入る余白が少ない場合も。ただし「Sing-along OK」と書いてあれば歓迎されます。
行く前に準備しておきたい3つ
キーを決めておく
「Fly Me to the Moon、Cm でお願いします」と即答できると、ジャムは一気にスムーズに進みます。自分の声に合うキーは絶対にメモしておく。
カラオケで何度か歌って、原曲キーから何個下げ・上げが快適か把握しておくのが基本です。
譜面(リードシート)を持参する
楽器プレイヤーは「譜面を読める」のが前提。歌詞 + コード進行を書いた譜面を渡せば、初対面のバンドでもすぐに伴奏してくれます。
iReal Pro というアプリを入れて、歌う曲のコード進行をスマホで見せられるようにしておくと最強。「これで、Cm で」とスマホを見せるだけで完璧です。
イントロ・エンディングをイメージしておく
「イントロは8小節 piano から、エンディングは Tag で」みたいな指示が出せると、バンドが動きやすい。最初は「いつものでお願いします」でも OK ですが、慣れてきたら自分の曲の構成を語れるようになると、リーダーシップが出ます。
当日の流れ
- 店に入って、ホストにボーカルで参加したいと伝える
「歌で参加させてください」と最初に言っておくと、後で「マイクが空いた時間」を確保してもらえる
- マイクの場所を確認
店によってマイクスタンドが固定されてたり、ハンドマイクだったりする。マイクの種類を見て、どう使うか想定
- ターンが回ってきたら、曲名・キー・テンポを伝える
「Autumn Leaves、Cm、ミディアムスローで」みたいに、3点セットで伝えると即セットアップしてもらえる
- 歌う
歌詞をうろ覚えだと辛いので、初参加は完璧に覚えてる曲を1曲だけ準備しておく
- 間奏でソロを譲る
ボーカルだけで全部歌い切ると「曲を独占している」感が出てしまう。ピアノやサックスにソロを譲り、最後の1コーラスでボーカルが戻ってくる、が定番
ボーカルが避けた方がいいこと
- キーを決めずに行く → バンドが大混乱します
- 歌詞を見ながら歌う → うっかり譜面台に張り付いて顔が下を向くと、観客にもバンドにも届きにくい
- 長すぎる曲を選ぶ → 1曲4分以内が理想。10分のバラードは初参加では避ける
- ピッチを取らずに無理に歌う → 自分の声に合わないキーで歌うと、苦しそうに聞こえる。キー選びは妥協しない
ボーカル参加の魅力
楽器プレイヤーは「自分の楽器の音」に集中するけど、ボーカルは「歌詞の物語」を運ぶ役。バンド全体が、ボーカルの歌う物語に合わせて演奏を作っていく感覚は、楽器では味わえません。
「ジャズはインストでしょ?」と思われがちですが、フランク・シナトラ、ナット・キング・コール、エラ・フィッツジェラルドのように、ジャズの歴史はボーカリストの歴史でもある。歌で参加することは、何ら引け目に感じる必要はありません。
おすすめのデビュー方法
- まずは「ジャズボーカル教室」「ボーカルワークショップ」のセッション会に1回参加
→ 同じくボーカル初心者の人がたくさんいて、心理的ハードルが低い
- 慣れたら「ホストセッション」(ピアニストや楽器奏者が運営)に1人で参加
→ ホストが伴奏してくれるので、安心して歌える
- 慣れてきたら「ジャムセッション」
→ 一般のジャムでも歌で参加できる
まとめ
ボーカル参加は楽器と違う準備が必要だけど、歓迎されるセッションはたくさんあります。自分のキーを決めて、譜面を持って、歌詞を覚えていく。この3つだけ押さえておけば、初参加でも気持ちよく歌えるはずです。
「楽器ができないからセッションは無理」と諦める前に、一度ボーカルとして参加してみてください。