ベースは、セッションで一番足りない楽器
「ベース、入ってもらえます?」と頼まれた経験のあるベーシストは多いはず。セッションでベースは慢性的に不足しています。
理由は単純で:
- ベース人口が他の楽器より少ない(ギターやピアノに比べて始める人が少ない)
- ベースなしではバンドが成立しない(ドラムとベースは抜けると致命的)
- 1日3〜4セットあるセッションで、ベース1人が全部入りっぱなしというのが普通に発生
つまりベースは存在するだけで価値がある。これは初心者にとって最大の追い風です。
ベース初心者がデビュー前にやっておくこと
12小節ブルースを完全に弾けるようにする
12小節ブルースは、ジャズ・ファンク・ロック・R&B すべてのセッションの共通言語。4小節 I→4小節 IV→2小節 V→I→Vの進行を、F・Bb・C のいずれかのキーで完璧に弾けるようにしておく。
ブルースが入ったら、初参加でも「とりあえず12小節ブルース1曲できれば帰れる」状態になります。これだけで心理的にかなり楽。
Autumn Leaves を1曲覚える
ジャズスタンダードの最頻出曲。世界中のセッションで「とりあえず Autumn Leaves」が成立する。G マイナー(または E マイナー)でルート音だけでも弾けるようにする。
リードシート(黒本かiReal Pro)でコード進行を見ながら、ルート + 5度を中心に弾けば、初心者でも「演奏できてる感」を出せる。
ルート音 + 経過音の動きを身につける
ベースの基本は「コードのルートを弾く」だけど、それだけだと味気ない。コードチェンジの直前で、次のコードのルートに繋がる経過音を1音入れるだけで、ぐっとベースらしく聞こえる。
たとえば C → F に行くなら、C → C → C → E → F みたいな感じ。これを「Walking Bass の入り口」と呼びます。
スマホに iReal Pro を入れる
iReal Pro はスタンダード曲のコード進行が無料・有料で大量に手に入るアプリ。スマホをアンプの上に置いて、画面を見ながら弾ける。譜面を持っていく必要がなく、初参加で「曲を知らない」とき即対応できる最強ツール。
デビュー当日の動き
1. 早めに着いて、ホストに挨拶
「ベースで入りたいです、初参加です」と最初に伝える。ベースは引っ張りだこなので、「ぜひ次のセットから入って」と言われることがほとんど。
2. アンプのセッティング
店のベースアンプを使う場合、ホストや常連に「セッティングこれで大丈夫ですか?」と聞いてしまう。EQ は12時、ボリュームは小さめスタート、コンプ・エフェクトは基本オフから始めれば失敗しない。
3. 1曲目は知ってる曲を選ぶ
「次、何やる?」と聞かれたら、自分が完全に弾ける曲を1曲だけ選ぶ。Autumn Leaves や 12小節ブルース。慣れない曲を選ぶと迷子になる。
4. 知らない曲は「ルートだけで」
途中から入った曲が知らない曲でも、ピアノ or ギターのコードを見て、ルートだけ弾く。それだけでバンドは成立する。8分音符で「ドンドンドンドン」と刻むだけでも、グルーヴはちゃんと出る。
5. 終わったら「ありがとうございました」
ホストに一礼して、楽器をしまう。「次もぜひ来てください」と言われることがほとんどです。
ベース初心者がやりがちな失敗
弦を強く弾きすぎる
セッションのアンプは家のアンプより遥かに音がデカい。家で弾く力の半分くらいで十分。強く弾くと音が割れて他の楽器を埋めてしまう。
高音弦を多用する
低音楽器なのに高音弦(G弦、D弦のハイポジション)ばかり弾くと、ベース感が消える。E弦・A弦(ルート音)を意識的に使う。
ずっとスラップしたがる
スラップは派手だけど、セッションでは「使いどころ」が大事。最初のうちはスラップ封印して、フィンガーピッキングで地味に支える方が好かれる。
テンポを走らせる
緊張すると無意識にテンポが走る(早くなる)。ドラマーの足を見て、足のリズムに合わせる意識を持つ。
1年経ったら、何を目指す?
最初の半年〜1年は「ルート + 経過音」で生き延びる。1年経ったら、こういうことに挑戦してみる:
- ウォーキングベース: 4分音符でラインを作る基本
- 2-5-1 進行のベースライン作り: ジャズの基本進行に対するベースの動き方
- ファンク系の16分音符グルーヴ: ファンクセッション参加用
- ボサノバの2-feel: 静かな曲で繊細さを出す技術
このあたりを身につけると、「初心者」を卒業して、対等な仲間として扱われるようになります。
まとめ
ベースはセッションで一番呼ばれやすく、一番不足している楽器。12小節ブルース + Autumn Leaves + iReal Pro、この3つで最初の3か月は戦えます。
存在するだけで価値があるパートだから、深く考えずに楽器を持って行ってみてください。バンドの底を支えてる感覚は、ベースじゃないと味わえない楽しさです。